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今日の1枚

思いを託す

gallery「海を見ていた」は2台の6✖️6判のフィルムカメラで撮影しています。1台は1950年頃のROLLEIFLEX、もう1台は同じ頃に作られたSolidaで、どちらも終戦直後のドイツで製造されたカメラです。ROLLEIFLEXのレンズの銘に入っているOptonとは、終戦によって東西に分断されたZeiss社の西ドイツ側に残った設備と技術者を使って造られた暫定のブランドです。Solidaの背面の製造国表示には連合国占領下のドイツを表すMade in Garmany US Zoneの刻印があります。戦争によって何もかも失なった技術者たちの、それでもカメラを造ることで得た希望と矜持を製品に託した気持ちが伝わってくるような気がします。コロナを戦時下に例える表現もありますが、普段出番のないスクエアフォーマットのカメラを使ってみたくなったのは、カメラの出自と今の自分の置かれた状況がシンクロしているからだと思います。今が戦中なのか戦後なのかはまだわかりませんが、技術者たちが願った戦いの後の平和な世界を写していこうと思います。